「あら?」

 と、佐藤さんがポップに目を止める。

 私はドキドキしながら佐藤さんの顔を見つめた。

「どうしましたか?」

「私がいつも買ってるどら焼き、人気第二位なの。一位はどれ?」

 私は慌てて一位のポップを指さした。

「はいっ、一位はこちらのおはぎです」

「へえ……『香ばしいお餅に、トロリととろける餡子がたっぷりとかかった人気商品です』ですって。これも美味しそうね」

 佐藤さんは、いつも買っているどら焼きの他に、おはぎの小さい箱を指さした。

「じゃあこれとこれ、二ついただくわ」

「ありがとうございます」

 私はガバリと頭を下げた。

 ウソみたい。

 ポップのおかげで本当に商品が売れるなんて。

「すごいね、さっそく効果が出てる」

 奥から出てきた悠一さんも目をパチクリさせる。

「ですよね。私もびっくりしちゃいました」

 どうやら「ポップ大作戦」はそれなりの成果を上げたみたい。

「お前、中々やるじゃん」

 秋葉が親指を上げる。

 嬉しそうな秋葉の顔を見ているうちに、何だか私まで胸がポカポカしてきた。

「うんっ! ありがとうっ!」

 私もこのお店に少しは貢献……できたかな?