「うん、この抹茶ババロアの苦味もいいな。あんも上品な甘さだし」

 動揺する私をよそに、秋葉はうんうんとうなずく。

「チェーン店が運営してるって言うからどんなものかと思ってたけど、味は本格的だな」

「そ、そうだねー、あはははは」

 笑ってごまかす私を、秋葉は不思議そうな顔で見た。

「どうした、花帆、何か様子が変だぞ」

「ううん、何でもないっ!」

 私は動揺を悟られないように下を向いた。

「ところでさ、花帆は、みつ豆とあんみつの違いって分かる?」

「ううん」

「実はさ、みつ豆は茹でた赤えんどう豆や寒天に蜜をかけたもので――」

 秋葉が、目を輝かせて説明してくる。

 全くもう、和菓子バカなんだから。

 私がドキドキしてることも知らないで――。

「そ、そうなんだー、凄いね」

 適当にうなずいたけど、私は秋葉の説明なんて、これっぽっちも頭に入ってこなかった。