「いいなあ、ここ。兎月堂でもこういう喫茶スペースって作れないのかな」

 私が何気なくそう口にすると、秋葉は腕組みをして渋い顔をした。

「実はうちでも本格的な喫茶スペースをやらないかって話は前に出てたんだよな」

「そうなの?」

 じゃあ、どうしてやらなかったんだらう。

「でもうちじゃスペースも人手も足りなくて、結局ナシになった。営業許可とかもいるし」

「へえ、許可とかいるんだ」

「うちもこれくらい広くて資金があったら良かったんだけどな」

 そっか。私が考えるようなことは、秋葉たちはすでに考えていたんだ。