学校まで全速力ダッシュをし、結局私たちは、始業時間ギリギリに教室についた。

「おはよう、花帆、遅かったじゃん」

 莉茉ちゃんが駆け寄ってくる。

「うん。ちょっと慣れないバイトで疲れて、朝起きれなかったんだ」

「へえ、そうなんだ。それよりさ――」

 莉茉ちゃんが私の耳元でささやく。

「今、秋葉くんと一緒に教室に入って来なかった!?」

 思わずビクリとする。

「き、気のせいじゃないかな……」

 言えないよ。

 秋葉と一緒に住んでいて、一緒に学校に来ただなんて。

 私は秋葉をチラリと見た。

 教室に着いたばかりの秋葉に、綺麗にお化粧した可愛い女の子たちが群がる。

「秋葉くーん、これ、昨日作ったクッキー、食べてくれない?」
「あっ、ずるーい! ねえねえ、これ、私が焼いたケーキなんだけど……」

 すごいなあ。秋葉ったら。

 違うクラスの子に、後輩、先輩までいる。

「あー、俺、そういうの食わねえから。とっとと消えろ」

 だけど秋葉は塩対応。

 貰うぐらいしてあげてもいいのにな。

 なんて思っていると、秋葉がクルリと私の方を見た。