ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~

 どうしよう……。

 私が尻もちをつき涙目になっていると、人混みをかき分けて秋葉が走ってきた。

「花帆っ!」

「秋葉……」

 秋葉は私を助け起こすと、酔っ払いに視線をやった。

「これは一体どういうことだよ」

 酔っ払いは突然現れた金髪の若い男に一瞬ひるんだ。

 でも、すぐさま大声でまくし立てた。

「し、知らねえよっ。そこの女がいきなり俺に因縁をつけてきやがったんだ!」

 な、なにそれ!

 私が口をパクパクさせていると、今度は女子大生が涙目で訴える。

「ウソです! そのおじさんが最初に私に絡んできたんです」

「そ、そうですよ。変な言いがかりつけないでください!」

「……だそうだけど?」

 秋葉が静かに睨みつけると、男は逆上したように叫び出した。

「うるさいっ、大体なんだよお前は! 関係ないだろうが!」

「関係あるっつーの。花帆はうちの従業員で……大事な彼女なんだよ。これ以上何かするようだったら警察を呼ぶぜ、おっさん」

「ぐっ……!」

 酔っ払いは、秋葉の剣幕に後ずさりをした。

「なんだよ、みんなして寄ってたかって……ちょっと声をかけただけじゃねぇかよ。これだから最近の若いもんは……」

 口の中でモゴモゴと言い訳をすると、酔っ払いのおじさんは人混みの中に逃げていった。