ビターなアイツと甘い関係 ~毒舌王子と同居して、ナイショの甘いバイトはじめました~



「花帆」

 頭の中に一人の顔が浮かびそうになった瞬間、後ろから肩を叩かれる。

「ひゃっ」

 飛び上がって振り返ると、秋葉がキョトンとした顔で立っていた。

「そんなに驚かなくていいだろ」

「だって。……それより、お札は買えたの?」

「買ったよ。おみくじはどうだった?」
 
「うん、大吉だったよ!」

 おみくじを見せると、秋葉は嬉しそうに顔をほころばせる。

「すごいな。俺、大吉って初めて見たかも」

「私も初めてでびっくり。秋葉も引く?」

「いや、俺はいつも凶か大凶しか出ないから。兄貴はいっつもくじ運いいんだけどね」

「大凶って、それ逆にレアじゃない?」

 私が笑いながらおみくじを木に結ぼうとすると、秋葉は慌てたように言う。

「あっ、おみくじの結果が良かった時は、結ばないでそのまま持って帰ったほうがいいんだぜ」

「そうなんだ。じゃあ、財布に入れておこうっと」

 私はおみくじを畳んで財布の中にしまった。

 これでご利益があるといいんだけどなぁ。