「秋葉、メリークリスマス」

 私は秋葉にマフラーを渡した。

 この間、莉茉ちゃんと一緒に選んだんだ。

 気に入ってくれるかなあ?

「これ俺に?」

 秋葉は、少しビックリしたように目を見開いた後で、照れくさそうにふわりと笑った。

「――あんがと」

 わあ。

 秋葉の意外なほど柔らかい笑顔に、胸がドキドキする。

 やっぱり秋葉ってカッコイイな。
 
 こんなにカッコイイ人が彼氏だなんて、まだ信じられない。

 夢じゃ――ないんだよね?

 私はほっぺたをペシペシとたたいた。

「そうだ、俺からも――」

「えっ、秋葉も!?」

 正直なところ、全く期待していなかったんだけど、秋葉からも、キレイにラッピングされた包みを渡される。

「バカにすんな。俺だってプレゼントぐらい用意するっつーの」

「そうだね、ごめんごめん。ありがと」

「開けていいぜ」

 包みを開くとそこには、おはぎがデザインされた若草色のブックカバーと栞が入っていた。

「わぁ、可愛い」

「大したものじゃないけど、花帆って本を読むの好きだし、ピッタリだと思って」

「……うれしい。ありがとう」

 私は若草色のブックカバーを抱きしめた。

 すると、秋葉が私の後頭部に手を回した。

「メリークリスマス」

 そう言って、秋葉は私にそっと口付けた。

「……何で泣くの」

 秋葉に言われて、目を開ける。

 気がつくと、私の頬を一筋の涙か伝っていた。

「だって、うれしくて」

 私が言うと、秋葉はギュッと私を抱きしめた。

「バカだな」

「うん」

 なんて事ないクリスマスだけど、どんな高級ホテルやレストランより幸せ。

 秋葉と一緒にいられて幸せだなあって、私は心から思ったのでした。