莉茉ちゃんは照れたように頭をかいた。
「いやいや、でも、まだ付き合ってるわけじゃないんだ」
そうなの?
「でもクリスマスを二人で過ごすなんて、もうほとんど彼氏と彼女みたいなものでしょ?」
「うーん、そうかなぁ」
「そうだよ。クリスマスの日に告白とかされちゃうかも」
私が言うと、莉茉ちゃんは照れ笑いを浮かべる。
「だといいけど」
「どうする? 百本のバラとか持ってきたら」
「んなわけないじゃん!」
「タキシードとか着てきたりして」
「まさかあ」
二人で清ちゃんのキザな姿を想像して盛り上がる。
でも清ちゃん、ロマンチックな演出でクリスマスを盛り上げてくれそうな感じがする。
根がマジメだから、メールとか電話じゃなくてきちんと会って告白しそう。
あ、意外とサプライズなんかも好きだったりして。いいなあ。
と、急に莉茉ちゃんが真剣な顔になる。
「ところで花帆はどうなの?」
「どうって?」
私が目をパチクリされると、莉茉ちゃんはニヤリと笑った。
「やだなー、秋葉くんとのことだよ。付き合って初めてのクリスマスだし、それはもうロマンチックに過ごすんでしょ?」
「いやー、どうかな。まだどこかに出かけるとか、そういう話は聞いてないけど……何もないんじゃない?」
私は秋葉の姿を頭の中に思い浮かべる。
どちらかというと、クリスマスなんてめんどくさいってタイプに見える。
「そんなことないよ。付き合って初めてのクリスマスだし、きっと何か用意してるよ!」
「そうかなぁ」
私はチカチカと暖かい光の灯るクリスマスツリーを見つめた。
そうかな。何か用意してくれてるかな?
付き合いたてだし、ちょっとは期待しても良いのかな?