「ここのおすすめってどれかな」
「あ、はい。このおはぎはいかがですか」
「おはぎ?」
実咲さんは少し困ったように笑った。
「ごめんなさい、私、あんこってあんまり好きじゃないんだ」
「あ、はい。でしたら、こちらのカステラもおすすめですよ」
実咲さんは私が薦めたお菓子を、姿勢よくじっくりと眺めた。
「カステラ?」
「はい。日持ちもしますし、手土産としても人気がある商品ですよ」
……って、全部秋葉からの受け売りなんだけどね。
「じゃあ、カステラを一箱ください。それと」
実咲さんはカバンから何かを取り出した。
「秋葉にこれ、渡してくれないかな?」
キレイに塗られたピンクパールのネイルが光る。
渡されたのは、四つ折りになった一枚の紙だった。
「秋葉、連絡先を変えちゃったみたいだから」
「は、はい。ありがとうございました」
私はポカンと口を開けたまま、咲さんが出ていくのを見送った。
スラリと長くて、女の私でも見とれちゃうぐらいキレイな脚。
だけどなぜだろう。
背中からは妙な汗が一筋流れた。


