「ここの従業員さんですか?」

 色素の薄い、大きな瞳がこちらを見つめる。

「はい。あの、秋葉……くんのお知り合いの方でしょうか?」

「うん。私は水沢(みずさわ)実咲(みさき)。秋葉とは昔、ちょっとね」

 いたずらっぽく笑う実咲さん。

 鈍感な私でもそれを聞いて何となくピンと来てしまった。

 もしかしてこの人、秋葉の元カノ……とか?

 うわ、絶対にそうだ。
 
 美男美女でお似合いすぎる!

 それなら秋葉が気まずそうにしていたのも分かるし。

「あ、あの、秋葉くんは休憩に入っちゃって……あと一時間ほどしたら戻って来ると思うんですけど」

 オロオロと奥を指さすと、実咲さんはクスリと笑った。

「ううん、私もたまたま時間が空いたから来ただけなんだ。お菓子を買ったらすぐに帰るから大丈夫」

「そうですか」

 店の商品を手に取りじっくりと見始める実咲さん。

 私の心臓はドクドクと音を立てて鳴りっ放しだった。