「でもさー」

 と女子のうちの一人が声をひそめる。

「二人、もう別れちゃったんでしょ?」
「そうそう、気まずくない? 元彼と一緒で」

「うん、まあ……」

 私は秋葉をチラリと見た。

 秋葉は、少しいらいらした様子で女の子たちをあしらっていた。

 あれから、秋葉とはギクシャクしちゃって、バイトを辞めたいと思ったこともあったけど、今は普通に話せてる。

 バイト仲間として。クラスメイトの一人として。

 「好きだ」って気持ちを、押し殺して話せてる。

「でも、バイト中は仕事のことしか話さないから平気」

 私が言うと、女の子たちはキャイキャイと浮かれたように言った。

「そう、辞めたくなったら、いつでも言ってね」
「そうそう、私で良かったら変わるから!」
「ずるーい、私もここで働きたい!」

「ははは……」

 うーん、これは、しばらくここを辞められなそうだなあ。