「秋葉、バイトの時間だよ」
布団の中で寝息を立てている秋葉に声をかける
「……ぅん」
起きているんだか起きていないんだか分からないような声を上げる秋葉。
「起きてよ、秋葉」
私は秋葉の体を揺すった。
「……んん」
小さく息を吐いた秋葉は、私の腕をがしっと掴んだ。
「あ、秋葉!?」
秋葉がゆっくりと目を開ける。蕩けるような、熱っぽい瞳。
「……花帆」
「お、おはよう、バイトの時間だよ」
ドギマギしながら言うと、秋葉はかすれ声で言った。
「……起きたくねぇ」
「ダメだよ、起きないと――」
私が言いかけたその時、秋葉に掴まれた手首がグッと引かれた。
えっ。
天地がひっくり返る。
私はいつの間にか、布団の上に寝転んでいて、秋葉に押し倒されていた。