すると秋葉が冷蔵庫から何かを取り出した。

「デザートもあるぜ」

「もしかしてそれ……お店で出す新しいお菓子?」

「ああ」

 秋葉が見せてくれたのは、まるで水族館の水槽みたいな青い水ようかんだった。

 水ようかんの中では、寒天で出来たイルカやサメやエイが泳いでいる。

「わぁ、可愛い」

「この水ようかんは、秋葉が水族館にインスピレーションを受けて考えてくれたんだ。これはまだ試作品だけど」

 悠一さんが教えてくれる。

 秋葉は照れたように笑う。

「まーな。あの水族館デートも少しは役に立ったわけだ」

「うん。よかった」

 青色の水ようかん、凄く綺麗。
 まるでラッセンの絵みたい。

「それじゃあ、いただきます!」

 青い水ようかんをゆっりとスプーンで掬う。

 口に入れると、爽やかなレモンの風味が口の中に広がった。

「わあ、レモン味なんだ。てっきりソーダ味かと。爽やかで、とっても夏らしい!」

「『夏の海ようかん』っていう名前にしようと思うんだけど、どうだ?」

「いいね、夏の海!」

 こうして兎月堂の新たな名物ができたのでした。