元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



 脳が言われた言葉を処理するのに、しばらく時間がかかった。


 ──ルシウスが、黒瀬蒼也の生まれ変わり。

 そして、シエラと同じように前世の記憶を持っている。



「っ……」



 何か言わなければ。本当に本当なのか、ちゃんと確認しなければ。

 そう思って口を開き、息を吸う。それでも結局言葉にならない。

 それを繰り返し、五回目くらいでやっと声が出た。



「何と言うか……見た目の胡散臭さがましになりましたね」



 絶対に言うべき台詞はこれじゃなかったというのはわかる。

 とはいえ仕方がなかったのかもしれない。安易に「本当に久しぶりですね」とか「まさかこの世界で再会できるなんて思ってませんでした!」なんて言おうものなら、間違いなく泣いていた。

 これぐらいの冗談じみた言葉が丁度いい。その証拠に、彼も懐かしそうに目を細めていた。



「感動の再会を果たした感想がそれですか。君らしいといえばらしいですねぇ」



 ……いくら懐かしくて仕方がなかったとはいえ、シエラは本当に泣くつもりはなかった。本当だ。