シエラはその答えに軽くうなずく。
実際、シエラもルシウスからもらったあのお菓子を食べて咳き込んでしまったとき、コップのような見た目の花瓶が目に入り、反射的に手を伸ばしそうになった。
「少しお待ちをご令嬢。まさか、その花瓶の中に毒を仕込んでいたとおっしゃるのですかな?」
ジョシュアが納得できないという風に口を挟んできた。
「花瓶の水を飲むなんて低い確率にかけるなど……」
「ええ、ですから、彼は決して誰かに殺されたわけではないのです。……ジョシュアさん、貴方は先代の部屋にいつも花を飾っていたと言っていましたね?先代が亡くなる日の直前、何の花を飾っていたか覚えていますか?」
「花?……いえ」
「スズランです。ジョシュアさんが贔屓にしているという花屋に残っていた記録を確認してきました」
スズラン。白くて丸い小さな花が特徴的な、可愛らしい花である。
「知らない人も多いのですが──スズランは、有毒植物。特に花や根に強い毒を持ちます。それを活けていた水にも、毒素はあるのです」



