元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。




「基本的にこの家に出入りしているのは、俺とレオンとジョシュアさんの三人です。シエラ嬢への依頼についても、この三人しか知りません」



 こちらが人を連れてくることを制限されていたが、依頼してきた側も事情を知る人は最低限にしているらしい。ジョシュアがルシウスの隣、レオンがシエラの隣に腰を下ろした。



「では早速本題に入ります。二週間ほど前、俺の元にこの一通の手紙が届きました」



 ルシウスが一枚の安物の紙がテーブルに置く。彼は『手紙』と言ったが、封筒に入っていたわけでもなく、本当にただ紙に文字を書いて折りたたんだだけのものだ。

 そしてその文字はずいぶんと雑で、パッと見ただけではそれが文字なのかということすらわからない。文字だと思って見ればどうにか読めるが、全てを解読するのは根気がいりそうだ。

 ルシウスはそれを察して中身を説明してくれた。



「内容をまとめると、『クレイトン商会の長、ルシウス・クレイトンは人殺しだ。先代に毒を盛って殺し、新たな商会長になったのだ。この話を広められたくなければ今すぐ長の座を下り、クレイトンの名を捨てろ』という感じです」