それにはレオンも驚いた。



「え、つまりシエラお姉さんって有名人だったの⁉」

「一部では、でしょうけど。……はは、これは一度、この令嬢探偵に依頼をしてみなければ」

「依頼?」

「ええ。ちょうどあるでしょう?こちらの頭を少しばかり悩ませている厄介ごとが」

「ああ……あれか」



 レオンの頭に、ルシウスの言う「厄介ごと」が浮かぶ。

 しかしルシウスは前に、その厄介ごとは大事にせず内々で解決するつもりだと言っていたはずだ。外部の人間に解決を依頼するなど、いったい何故そんな心変わりをしたのだろう。有名人を招いて喜ぶようなタイプでもないのに。

 ……少しばかり疑問を抱いたレオンだったが、やがて考えるのをやめた。

 何にせよ、あの令嬢に思ったよりも早く再会できそうだと思うと嬉しかった。