元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



 ルシウスが馴染みのない単語を呟いた。



「クレ……?」

「クレプトマニア。窃盗症。盗みがやめられない精神的な病で、万引きの場合が多いですが、あなたの場合はスリなのかもしれないなと。……まあ、少なくともこの国では病気として確立していないが」

「まーた難しい話だ。時々よくわかんないんだよな、ルシウスさんの話」



 ルシウスは時々このように、レオンにはよく理解できないことを言う。

 そして、そのことについてそれ以上説明しようとしないのもいつものことだ。まともに勉強をしたことのないレオンにはどうせわからないだろうと思われているのかもしれない。事実なのでレオンもいつも聞き流している。



「それで、盗んだ金はまた貧民街に住む適当な子どもに渡しに行くんですか?」



 ルシウスが「また」と言っているのは、レオンは金持ちから盗んだ財布を使いもしないのに手元に置いておくわけにいかず、いつも昔いた貧民街に住んでいる子どもに渡しているからだ。

 しかし今回は事情が異なる。