レオンはしばらく逡巡した後、先ほどの出来事をルシウスに話した。
「さっき面白い貴族のお嬢様に会ったんだ。その人にここまで案内してもらってさ」
「ほう。それで早かったのですね。貴族……レオン、まさかと思いますが」
「はは、そうそう。また悪い癖が出ちゃってさ……。不思議だよな、ルシウスさんに拾われて、もうあんなことしなくても食えるのに、隙のありそうな金持ち見るとつい手が伸びちゃうんだ」
レオンはスリの常習犯だった。
ルシウスに拾われる前は貧民街を根城にする孤児で、生きていくために盗みをしていた。
ルシウスとの出会いもそれがきっかけだった。たまたま財布を盗った相手がルシウスで、その時もすぐにバレた。しかし何故かそれでルシウスに気に入られ、その時はまだ商会のナンバー2だった彼の仕事の手伝いをするようになった。
温かい食事に温かい寝床がある今。それなのに、盗みが止められない。やってしまった日はずっと罪悪感に苛まれる。
「クレプトマニア」



