探偵を名乗る自分が、こんな少年を冤罪で糾弾するわけにはいかない。シエラはそう考え、しばらくレオンの様子をうかがうことにしたのだ。
結果、レオンの行動に不審な点がいくつかあった。
「ベンチに座ったとき、私は右側を広く空けていたのに、レオンくんはわざわざ狭い左側に腰掛けた。それは、盗った財布をしまっていた左ポケットを無意識に私から遠ざけようとしてたんでしょ?」
他にも、シエラが「探偵をしていて、衛兵に知り合いも多い」と言ってみたところ、一瞬焦ったような顔を見せたこと、「クッキーを買いに行く」と言ったときに不自然なほどに慌てて止めたことも怪しかった。
あと、全く自己紹介をしていないにもかかわらず、レオンはシエラのことを「貴族だ」と言った。服装は貴族らしくない地味なものにしているし、買い物をしている店や歩き方など、ちゃんと観察してなければわからないはずだ。しばらく前から目を付けられていた可能性がある。
シエラの説明に、レオンはまた大きく息をついた。



