「どうしたのシエラお姉さん?あ、もしかして僕と別れるの寂しくなっちゃった?なんて……」
「……左のポケットに入ってる物、やっぱり返してもらっても良いかな?」
「……え?」
「必要以上は持ち歩かないから、もう大した額は入ってないんだけど……」
シエラのその言葉に、レオンの顔が強張った。
しばらく沈黙が流れた。その沈黙は、レオンの長い溜息で破られた。
「……気づいてたんだ」
レオンはズボンの左側のポケットに手を入れ、取り出した物をシエラに渡した。
それは、黒革で出来たシンプルなデザインの──シエラの財布だった。
「いつ気付いたの?」
「財布が無いこと自体はレオンくんがぶつかってすぐに気づいたの。前にも一度そういうスリに遭ったことあって、そのせいで人にぶつかられた時は反射的に確認する癖が付いてたから。だけど財布があるのを最後に確認したのはだいぶ前だったから、単に落としただけって可能性も捨てきれなくて」
「なるほど。それで『怪我の手当てをする』なんて言って僕のことを引き留めてたんだね」



