元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



 よく似た見た目で、入り組んだ道。慣れているシエラも未だ迷いそうになる。

 しばらく歩いたところで、ようやく大きな劇場のある広場にたどり着いた。



「あ、いた!ルシウスさんだ」



 レオンが嬉しそうな声を上げ、まっすぐ指をさした。

 さされた方を見ると、壁にもたれかかりながら本を読む男性の姿が遠くに見えた。



「あの人が……」



 遠目で確認しただけだが、シエラは少し意外な気持ちになった。

 大きな商会の長というぐらいだから、勝手に四十代か五十代ぐらいの人物を想像していた。だが、彼はどう見ても二十代の前半ぐらいに見える。近頃トップが変わり力を付けてきているという話のクレイトン商会だったが、まさかその新しい長はあんな若者だったとは。



「じゃ、色々ありがとうねシエラお姉さん!」



 レオンはぺこりと頭を下げ、待ち合わせ相手の元へ走り出そうとした。

 しかし──



「待って」



 シエラは、少し前にやったのと同じように、レオンの腕をつかんだ。