元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。



 加えてこのあたりはよく似た通りが何本もあり、慣れている人でないと、待ち合わせ場所を勘違いしてなかなか目的の人と巡り合えない……ということがたびたび起こるのだ。

 シエラがそう言うと、少年は感心したようにうなずいた。



「大正解だよお姉さん。この本を買ったのは僕の主人で、僕が代わりに受け取ってこれから合流する予定だったんだ」

「主人?見た感じどこかのお屋敷の使用人……とかではないわよね?」

「うん。僕はクレイトン商会っていう貿易商で働いてるんだ。そこの商会長のこと」

「クレイトン商会。聞いたことがあるわ。最近商会長が変わって規模を拡大してきているって噂だったかしら」

「へー。貴族の間でも有名なんだ、うちの商会。ねえ、怪我の手当てしてくれるんでしょ?もっとゆっくり話そうよ」



 少年はすっかりシエラに心を開いたようで、目をきらきらさせながらそう言ってきた。

 シエラたちは近くの広場に出て、噴水前のベンチに座った。シエラはベンチの右側を広めに空けていたが、少年はシエラの左側に腰を下ろした。