「私は大丈夫。あなたの方こそ怪我はない?」
「うん、こっちも大丈夫だよ!じゃあ!」
少年は笑顔でそう言って、そのまま走り去ろうとした。
シエラは咄嗟に振り返り、そんな少年の手首をつかんで引き留めた。
「待って」
「え?」
「……あなたやっぱり怪我してるでしょ。ほら、肘から血が出てるわ」
「あ、これはただ擦りむいただけでお姉さんにぶつかったから怪我したわけじゃないよ。気にしないで!」
「いいえ、これも何かの縁だからそこに座って手当てさせて?終わったら人探しも手伝ってあげるから」
引き留められたことに少し迷惑そうにしていた少年だったが、シエラの言葉に目を見開いた。
「え……お姉さん、どうして僕が人を探してるって思ったの?」
「私にぶつかってしまったのは、よそ見をしてたからでしょ?視線は少し上を向いていて、ちょうど大人の顔をあなたの目線から確認できるような角度。そして今手に持っているのは向こうの古書店で買った本。こんな異国の貴重書、子どもが自分のために買うとは思えないから、その本を買ったのは別の人で、本を渡すためその人を探しているんじゃないかと思ったの」



