「お怪我などは……」
シエラがラドクリフ侯爵にされそうになっていたことを知らない衛兵の一人が、シエラの無事を確認するため近づこうとした。
そんな衛兵を、ルシウスはさりげなく制する。
「シエラ嬢のことは俺に任せてください。貴方もあっちの犯罪者をお願いします」
「そ、そうか。了解した」
衛兵たちはラドクリフ侯爵を強制的に立たせ、連行していった。彼らがいなくなると、辺りが一気に静まった。
シエラはそのうちに服も整え終わり、ベッドから下りようとした。だが、薬が残っているのか、それともとてつもない恐怖から解放されほっとしたからなのか、上手く力が入らなかった。
「ルシウスさん……ちょっと肩を貸してください……」
シエラがそう言うと、窓の外を見ていたルシウスは無表情のまま近づいてきた。
体勢を低くしてくれたのでつかまろうとした──が、シエラが彼の肩に手を掛けるよりも早く、ルシウスはシエラを横抱きに抱え上げた。



