その場所に行くたび、そこで彼女と交わした会話が鮮明によみがえってきて、胸の辺りが冷えていくような心地がした。
外に出て数日が過ぎた頃、黒瀬は歩いている途中で突然強い眩暈がして、そのまま意識を失った。
次に目を開けたときに視界に入ったのは、病院の天井だった。
誰かが救急車を呼び、搬送されたらしい。
そこはいつも通っていた病院で、意識が戻ったと知った医者に色々と怒られたが、黒瀬は「まだ死ねなかったのか」としか思わなかった。
そのまま入院を続けたが、体調が回復することはなかった。
そんな中一度、松坂警部が黒瀬の元に訪れた。
松坂警部は、病人への気遣い皆無の勢いで黒瀬のいる個室の扉を開けた。
「おい、ようやく見つけたぞ黒瀬。連絡はつかないわ事務所はもぬけの殻だで一体何事かと思ったぞ!」
「……これはこれは松坂警部。病院では静かにするという常識を、まさかその年齢でご存知ないのですか?」
「ったくあんたは……」



