元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。




 静奈は一応病院へ搬送されたが、すぐに死亡が確認された。

 事情聴取もされたはずだが、黒瀬は何を言ったのかは全く覚えていない。


 悪い夢だと思いたかった。

 寝て起きたら、普通に静奈がいるのではないかと期待した。しかしそんな奇跡が起こるはずもなく、黒瀬は一人カーテンを閉め切った暗い部屋で、水すら口にせず時間を過ごした。


 その間、何度も同じことを考えた。

 どうして静奈が死んだのか。どこで間違えたのか。

 縄の抜け方を教えたのがだめだったのか。あの日買い物に行くと言った彼女に同行しなかったのが悪かったのか。


 そして、必ず同じ結論にたどり着く。


 そもそも、彼女を自分の助手なんかにしたところから間違っていたのだ。



 そうやって一日を過ごした後、黒瀬は家の中にあった分の金と残り少ない薬だけ持って、外に出た。

 静奈との思い出がある場所を巡り始めたのだ。


 現在、静奈の従兄弟に当たる人物が新たな当主となって住んでいる御園家の屋敷。初めて静奈が同行した事件現場。一緒に出掛けたとき偶然強盗犯に出くわした銀行。