「シエラ嬢のことは以前王宮でのパーティーでお見掛けしてね。……お恥ずかしい話だが、一目惚れというのは本当にあるんだなと思ったよ」
「ひ、一目惚れ、ですか?」
「ああ。光を浴びて上質なシルクのごとく輝く髪に、紫水晶のような瞳。無駄な飾りつけなど一切ないシンプルなドレスを身にまとい、他人とは馴れ合うつもりはないという毅然とした態度をとる令嬢。あの時わたしには、貴女が地上に降り立った女神のように見えてね。貴女のことについて、周りの者に根掘り葉掘り聞いてしまったよ」
「は、はあ……」
うっとりとした口調でシエラの魅力を語るラドクリフ侯爵を見て思う。
この男、いったいどんな目をしているのだろう。
シエラは自分でも、まあそれなりに美人の部類には入るだろうと思っている。とはいえそれは、ごくありふれたレベルの美人だ。
プラチナブロンドの髪や前世とよく似た猫目は多少特徴的かもしれないが、それでもあまり記憶に残らないタイプの顔である。どう考えても地上に降り立った女神には見えないし、悲しいが一目惚れされるようには思えない。



