ダイアナの顔色は次第に悪くなっていく。何も口を挟みはしないが、血がにじむくらいに唇を噛み締めていた。
「そして、そこで貴女は目撃しました。腹部から血を流すマルガリータさんの姿と……血の付いた刃物を持った、貴女の息子を」
マルガリータの腹部の高さは、6歳ぐらいの子どもが腕を上げたぐらいだ。
恐らくは正当防衛だろう。誘拐犯のマルガリータが、言うことを聞かせるために痛めつけたのは容易く想像できる。
それに耐えかねた幼いダイアナの息子は持っていた大きなハサミを振り回し、必死になって刺したのだろう。だから、マルガリータには致命傷となった深い傷の他に、浅い傷がいくつもあった。
「わからなかったのは、何故小さな子どもが大きなハサミなんて持っていたか。でもこの家に来てわかりました。あれは、ダイアナさんの仕事道具ですね」
「……はい。あの子は私が少し目を離すと、すぐに私の仕事道具で遊ぼうとするんです。危ないからっていつも怒っているんですけど」



