ダイアナの家の戸を叩くと、彼女は前と同じように疲れた表情で顔を出した。



「っ……!」

「ダイアナさん。度々ごめんなさい。もう一度、話をできませんか?」

「言いましたよね。もう何も話すことはないと!」



 ダイアナは強引に扉を閉めようとする。やせ細った腕なのに力は想像以上に強い。

 しかし、扉は完全に閉まる直前で止まった。見ると、後ろでルシウスがドアの間に足を挟んでいた。



「ご婦人。ぜひ俺にも話を聞かせてください。例えば……貴女の息子さんが行方不明になったときのこと、とか」

「ど、どちら様ですか?何でそのことを知っているんです?」



 ルシウスの美しい顔を見て、ダイアナは一瞬思考が停止したようだった。


 シエラは、前世で黒瀬に一度こんなことを言ったことがあったと思い出した。


『黒瀬さんちょっと顔良すぎませんか?せっかくならモデルとか俳優とか少しは顔を活かしたことしたら良かったんじゃ?探偵にその顔は無駄だと思いますけど!』