元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。




 ルシウスは口から出まかせに無くした書類の重要性を語る。もし本当にそんな書類があって無くしたのだとしたら商会の信用問題に関わるレベルなのだが。

 そして「あの書類がないとデマール家との取引にも支障が……」と言い出したところで、男爵は慌てたように失せ物探しを許可した。

 シエラは咳払いをして言う。



「そんな大切な物を探すのに部外者の私がいても邪魔ですね。私はここで待っています」

「シエラ嬢、俺が無理を言って貴女に付いてきたのに、逆に俺の都合でお待たせしてしまい申し訳ありません。……さ、男爵。シエラ嬢を長く待たせるわけにもいきませんから、早く案内をお願いします」



 ルシウスが言うには、クレイトン商会はかなりの好条件でデマール家と取引をしており、身分が下のはずのルシウスに対してもあまり逆らえないようだ。

 ルシウスはシエラに目配せをして立ち上がる。しばらくは男爵を引き留めてくれるだろう。


 これで部屋にいるのは、隅で待機する男の使用人一人。