元探偵助手、転生先の異世界で令嬢探偵になる。





「あの、事前に連絡もせずに本当にすみません」



 数日ぶりに足を踏み入れたデマール家の屋敷。

 突然の来訪にもかかわらず、あっさりと中に案内してもらえた。



「い、いえ。それで、マルガリータを殺した犯人については?」

「すみません、まだ……」

「そうですか……。それとあの、どうしてルシウス・クレイトン殿と一緒なのです?」



 男爵はびくびくしながら、シエラの隣で出された紅茶をすする男に目を向ける。



「あー、ええっと、彼は……」

「最近ダグラス家とも取引を始めまして、シエラ嬢と知り合ったんですよ。そうしたら彼女、探偵なんていう珍しいことをしているというので、無理を言って仕事を見せてもらっているところです。まさかその依頼人がデマール男爵だとは思いませんでしたけどね」



 平気な顔で嘘をつくルシウス。そしてさらに嘘を重ねる。



「でも丁度良かった。この前こちらにお伺いした際、大切な書類を一枚忘れていってしまったんです。それらしい物を見かけていませんか?」

「いや、そんな物は」

「本当に重要な物なのですよ。できれば以前使った応接室を探させてもらえませんか」