『request』短編集





(その顔……ちょっと見てみたいかも)




だって、見た感じ完璧そうな人が動揺を隠せないくらい焦る姿、見てみたくない?


ムクムクと湧き上がってくる好奇心。


ちょうど2人っきり。



こんなチャンス…滅多にないかも。



好奇心が膨れ上がっては

氷上さんの降りる階に辿り着いたその瞬間に




「氷上さんって、ホストクラブでも働いてますよね?」

「…………………」




ピタリ。氷上さんの足が止まる。


分かりやすく反応を見せてくれた氷上さんになんだか楽しくなってきて話をどんどん進めた。




「私、見ちゃったんです。○○駅近くのホストクラブで氷上さんが出てくるところ。私かっこいい人の顔って絶対に忘れないから、あれは確実氷上さ……ん?」




エレベーターの扉が閉まって、再び密室の中で2人っきり。




「ひ…氷上さん…?」





そんな中で、ここで降りるハズの氷上さんの威圧によって壁に追いやられている私。



ヤバっ…怒らせた?



思わず手に持つファイルで防御をしてみるけど、まあ、あまり意味が無く。



至近距離に感じる氷上さんの気配。


怒られると思ってギュッと目を閉じた────が。




「………、………?」




あ、れ…?


恐る恐る、目を開けると




「………え。」




氷上さんの顔はまるでリンゴのように真っ赤に染まっていて




「見られてたのか……」




と。弱々しい声でそう言った。



照れ……てる?


え、もしかして恥ずかしいの?



訳が分からなくて「??」ばかりが頭に浮かぶ。



そんな中、エレベーターは再び動き始めて
着いた階で沢山の人が乗ってきた。


ぎゅうぎゅうになったエレベーター内で
氷上さんは私の耳元に口を近づけて言った。




「叶さん、」

「(名前…!)」

「どうか、内緒にしてください。」




低音ボイス。


だけど余裕のなさそうな顔。




「は…はい……」




ギャップ萌えのせいか、私の鼓動は今までにないくらいのスピードで動き出した。




ギャップ萌え

〜完〜