『request』短編集





「せっかく良い人が現れたと思ったんだけどな〜…」




女を金蔓としか思ってないようなことを裏でしてるなんて……割と、いや、結構ショックだ。


絶対関わらない方がいい。



…………そう分かっていたとしても




「ゲッ」




職場にて。乗り込もうとしたエレベーター内にあの裏ホスト氷上さんの姿。


しかも1人。思わず声が出てしまった。

もちろん氷上さんは「?」を浮かばせている。




「乗らないんですか?」

「え。あ、乗ります」




慌てて中に乗り込むと、氷上さんは閉まるボタンを押した。


狭くもなければ広くもない、そんなエレベーター内に裏ホスト氷上さんと2人っきり。




「何階ですか?」

「あ、8階お願いします」




言うと、氷上さんは8のボタンを押す。


動揺して押すのすっかり忘れてた…





「…………………」

「…………………」

「…………………」

「…………………」




動き始めたエレベーター内での会話はもちろんゼロ。


そりゃそうだ。
だって喋る内容ないし。




(聞きたい気もするけど)




なんでホストしてるんですか?って。


そう単刀直入に聞けば
この人絶対動揺するんだろうな。