『request』短編集



あれは……いつだろう。確か飲み会の帰り道に家までの近道を探して何気なく通りを歩いていた時だった。


キラキラと眩しい看板や男女共に賑わいが広がるその通りは紛れもなくホスト街で。


酔っ払いも多く、絡まれる前にとっとと抜け出そうと思っていた矢先のこと。



(うわっ。あの人カッコイイ)



その通りで一際目立つ建物から

女性を連れて中から出てきたイケメン。



────それが氷上さんだった。


黒スーツに派手めなネクタイ。


女の人に抱きつかれていた氷上さんの服装は、完璧ホスト。



顔面の偏差値はその通りにいる人の中で紛れもなくNO.1で、面食いな私にとってはスグ脳裏に焼き付いた。



だからこそ、




「────初めまして。父の代わりを務めさせていただきます氷上和也です。どうぞよろしくお願い致します」





職場にその顔が現れた時は開いた口が塞がらなかった。



え、まって、どういうこと?

ホストなのに?ここでも仕事するの?

この会社副業ダメだよね?

イケメンだから許されてる?

それとも社長の息子だから?



(……だとしたら甘すぎない?)



見間違い?


いや、そんなわけない。



あの人は完全に氷上さんだった。