『request』短編集




『あ、ごめん。なんて?』

「ううん、なんでもなーい。桜井さん帰って来たみたいだし私もそろそろお風呂入るね」

『分かった。また電話しようね』

「もちろん!」

『くれぐれも危ない人にはついてっちゃダメだよ』

「私は子供か」



2人同時にクスリと笑い合い



『じゃあね』

「はーい。またね〜」



月姫とのテレビ電話はそれで終了した。


静かな部屋でソファーに横たわる私。



「危ない人にはついてっちゃダメ…か」



真っ暗な画面を眺めながらポツリとそう呟く。



頭の中で思い浮かぶのは


会話の中に出てきた『社長の息子』



その人はつい最近
長期休暇を取る社長の代わりとしてやってきた。


顔は超絶イケメンで高身長でスラッとしてて、
髪もサラサラで清潔感満載の


見るからに、完璧な人、って感じなんだけど…



「あの人……ホスト、なんだよねー…」



見てしまったのだ。


社長の息子である氷上 和也(ヒカミ カズヤ)さんがホストクラブから出てくるところを。



氷上さんが社長の息子だと知る前に

私はその瞬間を偶然目撃していた。