都市計画課のフロアを出てすぐ左手、『小会議室28』と書かれた部屋の入り口にかかったプレートを、修太郎(しゅうたろう)さんは無言で「使用中」になさった。
 そうしてから扉を開けると、中へ入るように目で訴えていらして。

 私は()われるままに彼の前を通って部屋に入る。

 部屋の中はブラインドが下ろされていて、朝の陽光に照らされてはいるけれど、何となく仄暗(ほのぐら)かった。
 長方形の室内の、南側一面にホワイトボードが置かれていて、部屋一杯にロの字になるように長机と椅子が並べられている。

 いかにも会議室然(かいぎしつぜん)とした雰囲気に圧倒されつつも、電気……と思って後ろを振り返ったら、修太郎さんが入っていらした。

 何故か眼鏡を外しておられる彼に、軽い違和感を覚える。

「……?」

 と、彼の後ろで扉が閉まる音がして、次いでカチャリ……と小さな施錠音が聞こえてきた。