あなたに、キスのその先を。

 感じると、女性は「濡れる」ものだということは、短大時代の友人たちから聞いて、知識としては持っていた。
 けれど、今まで(みずか)らの身体ではそういうのを体験したことはなかったから……。そんなのは自分とは無縁の、遠い世界のことだと思っていた。

 それなのに――。

(……どうしたらよいのでしょうっ?)

 大好きな人にほんの少し胸に触れられただけ。
 たったそれだけのことでこんなになってしまう自分が、とても(みだ)らではしたない存在に思えた――。

 こんなエッチな女の子だと修太郎(しゅうたろう)さんに知られてしまったらと思うと、私は恥ずかしさに穴に隠れてしまいたくなる。

 思わずギュッと太腿(ふともも)を閉じると、修太郎さんに気づかれませんように、と心の底から願った。