修太郎(しゅうたろう)さん、大発見なのですっ!」

 興奮気味に日織(ひおり)が話しかけてくるのへ、修太郎は読んでいた書類から目を上げると、彼女の顔を見つめた。

 せっかく日織が泊まりにきていると言うのに、どうしても週明けまでに済ませておかねばならない仕事があった。
 修太郎は申し訳なく思いながらも、彼女の横で(はや)る気持ちを抑えながら書類の最終チェックを行なっていた。

 今まで修太郎を邪魔しないように、一人静かに本を読んだりしていた日織だったのだが、どうしても聞いて欲しいことができて我慢できなくなったらしい。

「あのっ、お仕事の邪魔をしてしまってすみません。でも、すぐ済むのでほんの少しだけ話を聞いていただけますか?」
 言って、大きな目で修太郎を見つめてくる。
 仕事の終わりが見えていることもあり、修太郎は日織の方を向くと、
「――何を発見したんですか?」
 優しい声音で先を促した。すると、日織が嬉しそうに手のひらを修太郎の方へ差し出してきて。

 小さくて可愛らしい日織の手。
 修太郎の手で包み込むと、スッポリと覆い隠せてしまうほどの大きさしかない。

「手が、どうかなさいましたか?」
 思わず、目の前にある日織の手をギュッと握りながら問えば、修太郎の手の中で日織の手がグーパーを繰り返して。