「お、お風呂……ありがとうございました」

 結局、例の薄化粧パウダーを鞄の中に忘れてしまって……ノーメイクのままリビングに戻ってこなくてはいけなくなりました。

 出掛けに慌てて追加したので、ポーチの中に入れられていませんでした。私、おバカさんです……。

 お化粧なしが物凄く恥ずかしくて、私は顔を両手で隠すように覆いながら、そそくさと修太郎《しゅうたろう》さんの横を通過し――ようとして彼に捕まってしまいました。

日織(ひおり)さん?」

 グイッと腕を取られてソファに座る彼のすぐ横に引き倒されてしまい、

「どうして顔を隠していらっしゃるんですか?」

 見下ろされるようにして、いきなり核心を突かれてしまいましたっ。

 ソファに倒れ込んだ拍子に、手にしていた荷物が床に散らばったのですが、修太郎さんはお構いなしで。