念願の携帯デビューを果たした日、私は修太郎(しゅうたろう)さんの運転するお車で家の近くまで送っていただいた。

 修太郎さんはdocono(ドコノ)ショップ近くのコインパーキングに、愛車――黒のアルファード――を駐車しておられた。

 七人乗りのミニバンだというアルファードは、車内空間がとてもゆったりとしていて、二人で乗るには少し広すぎてソワソワしてしまった。

 もしかしたら助手席に乗り込むときにフラリとよろめいて、修太郎さんに抱きとめられたのが影響しているのかもしれない。

 もしくはたった今、修太郎さんが私の身体に覆《おお》いかぶさるようにして、シートベルトを留めてくださったから気持ちが(たかぶ)っているだけかも?

 助手席からの景色も、シートの位置が割と高いからか、気持ち背が高くなった気分で。

「お、大きなお車ですね……っ」

 あたふたと後部シートを振り返りながらそう言うと、「年に数回、弟や妹たちを乗せて遠出などをするんです。そういうのを考えると、このぐらい広さがないと不便なんですよ」と修太郎さん。

 いざとなったらみんなで車中泊(しゃちゅうはく)が出来ること前提でこの車を買われたとのことだった。