そっと手を差し伸べられて、躊躇してしまった。
「ろ、廊下で繋ぐのは……」
他の生徒もいるし、高良くんといたらただでさえ目立ってしまうと思うのに、手なんて繋いだら……。
さっきも、すれ違った女の子たちがありえないものを見るような目で高良くんと私を見ていた。
女の子たちから大ブーイングが起きるし、人前で手を繋ぐのは正直避けたい。
「嫌?」
だけど、寂しげな瞳で見つめられて、私は首を横に振りきれなかった。
「……だ、大丈夫、です」
私、高良くんには強くでれないみたいだ……。
嬉しそう笑った高良くんの手をそっと握りながら、そう思った。