拘束が解けて、ほっと安心した。
「……獅夜……?」
岩尾くんは相変わらず困惑しているのか、高良くんを見る表情は青ざめ、頬には冷や汗が伝っていた。
「何でお前に、んなこと言われなきゃいけねーんだよ……」
高良くんを睨みつけている岩尾くんの姿に、違和感を覚える。
私の知っている岩尾くんは、怖いもの知らずで、いつだってコミュニティの中のボスだった。
みんな岩尾くんに憧れて、みんなが岩尾くんの言うことを聞いて……いつだって岩尾くんが一番上の存在だった。
そんな岩尾くんが……怯えているように見えたんだ。
高良くんを、前にして。
高良くんは、私を背中に隠すように前に出て、岩尾くんを睨みつけている。
「ガン飛ばせば、俺がビビると思ってんのか?」
ははっと笑って、挑発するみたいに言った岩尾くん。
「……それ、ビビってるやつのセリフだろ」

