【完】溺愛したりない。〜獅夜くんは容赦ない〜

とっとと教室に入って学生証を取ればいいものの、俺は中に入れないままそいつのことをずっと見ていた。


プリントの山を見て、嬉しそうに笑ったそいつ。

立ち上がって、プリントを持って教室を出ようとした。


あ……。



「わっ……!」



教室の扉のすぐ後ろにいて俺が死角になっていたから、こっちに歩いてくるそいつとぶつかってしまった。

倒れたそいつと、散らばったプリント。

やばい……怪我してないか……?

心配でしゃがみこみ、そいつの顔を覗き込む。



「あの、ごめんなさいっ……!」



どう考えても俺がこんなところで突っ立っていたのが悪いのに、頭を下げて謝ったそいつ。

どれだけお人好しなんだと思いながら、そいつと初めて目があった。

吸い込まれるような、まっすぐな瞳。

眼鏡越しでもわかる、綺麗な目だった。