【完】溺愛したりない。〜獅夜くんは容赦ない〜

教師が廊下を走るのはどうなんだと思ったけど、あいつのことなんてもうどうでもいい。


俺は一人残された女……委員長と呼ばれたやつが気になって、再び教室を覗いた。



「先生、悲しませちゃったかな……」



眉をハの字にして、泣きそうな顔をしていたそいつ。

その表情に、また胸の奥からよくわからない感情が込み上げてくる。

……つーか、あの担任はどう考えても上機嫌で出て行っただろ。
あんなやつに罪悪感なんか持たなくていいのに……。

こんなにもお人好しな人間を見たのは初めてだった。


俺みたいな素行の悪い生徒をかばって、そのうえ担任のことまで気遣って、こいつにはなんのメリットもないはずなのに。

……なんだ、この感情。

女なんか嫌いなはずなのに、目の前のこいつに惹かれる。

こいつのことが知りたくて、たまらない。

他人に興味を持ったのも、生まれて初めてだった。