と、というか、恋人同士でもないのにキスするなんて、おかしいっ……。
「……ごめん、暴走した」
意外だったのは、高良くんが謝ってくれたこと。
倫理観がおかしいとは思うけど……プライドが高そうな彼が素直に謝罪してくれたことに驚いた。
で、でも、謝られたら、強く言えなくなってしまう……。
「嫌だった……?」
まるで捨てられた子犬みたいに、不安そうに見つめてくる高良くん。
その表情に、うっ……と言葉に詰まる。
母性本能をくすぐられるって、こういうことなのかもしれない……。
それに……”嫌だったか”と聞かれたら、返事に困ってしまう。
普通なら、好きでも無い人にキスをされたら気持ち悪いとか、嫌だって思うはずなのに……そんなふうには思わなかった。
ただ、恥ずかしさでパニックになって、そんな自分が怖くて……。