私にとって、悪魔のような存在の彼に。

私の行く道を塞ぐように、前に立った岩尾くん。



「今日も朝から辛気臭い顔してんな」



私を見て、バカにするように口角をあげた。

あ、悪魔の形相っ……。

岩尾くんは身長が高いから、見下ろされるだけで怖い。



「……」

「おい、なんか言えよ」



怯えて萎縮していると、低い声でそう言われてますます体がこわばった。



「ひっ……ご、ごめんなさい……」



相変わらず、今日も怖いっ……。

岩尾くんは、別に不良ってわけじゃない。アクセサリーをつけていたり、制服を着崩しているわけでもないし……見た目も、普通にしていれば好青年だと思う。

ただ、私が岩尾くんを怖がる理由は、過去の様々なトラウマが原因だった。