【完】溺愛したりない。〜獅夜くんは容赦ない〜

「どうして、私のことなんて知りたいんですか……?補習に指名したのも……」



ただの、気まぐれかな……?

私の質問に、高良くんはまっすぐにこっちを見つめながら口を開いた。



「好きだから」

「……っ!」



真剣な眼差しで、ありえない言葉を口にした高良くん。

色素の薄い、水色の瞳に……自分が映っているのが見えた。



……嘘だ。


失礼かもしれないけど、告白を素直に受け入れられなかった。

だって、おかしい。


確かに、高良くんが私のことを好きなら……補習に指名した理由も、き、キスをした理由も頷ける。今までのことも、全部辻褄があう。

だけど……女の子なんて選びたい放題な高良くんが、私を好きになる理由がない。

地味で冴えない、どこにでもいる特技も可愛げもない人間だから。



「好きでもない女に、キスなんかしない」