真綾はいつまでたってもウブで、何度抱きしめても、何度キスをしても、その都度初めてみたいな反応をする。
それが俺の加虐心を煽るってこと、本人は気づいてない。
今ならしてくれるかもと思ったけど……さすがに無理か。
冗談と言ってごまかそうとした時、真綾が俺の手を握ったまま歩き出した。
「こ、こっちに……」
え……?
他の生徒たちから離れて、近くの空き教室に入った真綾。
「まーや……?」
俺をじっと見つめる真綾に呼びかけた時、真綾が俺の肩に手を添えた。
ぐいっと引っ張られて、反射的に屈む。
——ちゅっ。
背伸びをしながら、可愛らしいキスをしてきた真綾。
心の準備が整っていなかった俺は、味わう余裕もなかった。

