「いい男になって、やっぱり俺がいいって言わせてやるからな」



岩尾くん……。

初めて、岩尾くんの優しさに触れた気がした。

……初めてって、失礼かもしれないけど……。



ふんっと鼻を鳴らして、歩いて行った岩尾くん。

私も、早く学校に行こう。


清々しい気持ちで、一歩を踏み出した。






「あっ……」



教室に入ると、真っ先に目に飛び込んだ。

私の隣の席に、座っている高良くんの姿が。



「た、高良くん、おはようっ……」



嬉しくて、笑顔で駆け寄る。

眠っていた高良くんは、勢いよく顔を上げて私を見た。



「おはよ、まーや。待ってた」



会話をしていなかった期間、高良くんは一度も教室に来なかったから……また戻ってきてくれて、よかった……。



「高良くんが教室に来てくれて、嬉しいです」